公演の記録その一

第一回公演『秘密のマチコさん』
(2006年11月 新宿サニーサイドシアターにて上演)
  
mathiko.omote.JPG

演出家の母の思い出

特になし
(演出家より注※折角の劇団母子ともに健康という事で、この記念すべき第一回公演について、母からコメントをもらったら面白いんじゃないかな、と思って早速実家に電話したはいいけれど、公演については何もコメントをもらえず、ただ「元気でやってるの?」或いは「最近どう?」などという、息子の身を案ずる言葉や叱言しか引き出せませんでした。そんな親子の会話を書いてもしょうがないし、何よりそんなもんを世界に向けて発信するのは私自身が恥ずかしいし、ここは潔く、何もコメントをもらえなかったので、特になし、と、書かせて頂きました。企画倒れもいいとこですが、まあ、よくよく考えてみれば母はこの公演を見ていない訳で、コメントが何も無いのは至極当然、それを予め考慮していなかった私のミスかもしれません)


演出家の思い出

 記念すべき第一回公演。ラブコメ。すなわちラブコメディ。皆(劇団母子ともに健康の皆)にその旨伝えたら全力で以って否定されたけれども。「これがラブコメだって? 冗談は顔だけにおしよ」とか何とか。
 今でこそ、小道具やら舞台美術やら、拾ってきた物、或いはゴミなどで何とかやりくりしている劇団母子ともに健康ではあるものの(と言ってもエコロジー的思想からではなく、単純にお金が無いからである)、改めてビデオで見ると、舞台美術とか小道具とかその他諸々にお金をちゃんと掛けて一から作り上げていて、はっきり言って当時の自分たちが羨ましい。心なしか今の自分たちより良い顔しているのは、若いからという理由だけではあるまい。
 お話としては、秘密のマチコさん(フルネーム。秘密が性で、のマチコさんが名前)という、名は体を表す、それこそ玉葱の皮の如くに秘密のベールに包まれている女の人が出て来て、で、そんな彼女に恋をしてしまった体育教師が、彼女の事を何でも知りたいが余りに探偵を雇ってしまって、そこまでは別段問題は無かったが、しかしながら、この体育教師というのが、非常に特殊な思考回路の持ち主だった為に、自分で探偵を雇っておきながら、「何、お前俺の女をじろじろ見てんだよ」とか理不尽な事を言い出して、何だかんだあって、探偵を殺してしまって、さぁ大変、体育教師の切腹によって、その場の騒ぎは治まったものの、同時に他にも大変な事が色々起こってしまい(妊娠、出産とか。大震災とか)、更に、ヤスが劇中起こる殺人事件(探偵のとは別の殺人事件)の犯人であることが判明し、ヤスを皆(一年A組の皆)で追うが、しかしながら、ヤスは何処にも見付からず、実はヤスなどという人間は最初から存在せず、ヤスとは皆(一年A組の皆)の幻想であり、心の中にヤスを見ていた、というのが明らかになり、最終的に皆(全校生徒の皆)でドリフの『いい湯だな』を歌う、という感じの筋だったと記憶していたが、この公演のビデオを見返してみたところ、全然そんな話ではなかったのは一体どういう訳であろうか。
 記憶の底を探ったところ、あ、そういえば、と、思い当たる事がある。その頃、私は、姉とトイレどっちが先に入るか競い合った挙句、便器に強かに頭を打ち付けるというみっともない事件を起こしていたのである。もしかしたら、そのせいで記憶が曖昧になってしまったのかもしれない。思わず人間の脳味噌の脆弱さ、ひいては記憶力の不確かさを嘆じたが、それでもなお、記憶通りな事もちゃんと二つあって、それは、ラストにドリフの『いい湯だな』を歌う事と、この作品がやっぱりラブコメだった事である。
 それにしても、ビデオを見返していて、目に余るのは自分の髪型である。似合いもしないのにパーマなんて掛けていやがるのだ。莫迦じゃなかろうか。これ、正直言って、過去の自分から辱めを受けている気分である。ちなみに私は刑事役である。刑事役といえばコロンボという貧困極まりない発想から、恐らくパーマにしたのであろうが、これは完璧忘れていた。というより、そもそも、自分では料理評論家の役であり、髪型もさらさらヘアだったと記憶していたのである。人間の記憶は甚だ当てにならない。まさか刑事役だったとは。いや、待てよ? もしかして、これを忘れたいが為に自分で記憶を改竄した? 
 あれ? このビデオに映っているのは本当に俺か? 
 あれ? 俺は誰だ? 
 君は誰だ? 

更新日 : 2008年07月22日

母子の歩み

2006年6月 母子ともに健康 発足
2006年11月 第一回公演「秘密のマチコさん」上演(新宿サニーサイドシアター)
2007年5月 第二回公演「メシかフロか」上演(荻窪メガバックスシアター)
2007年12月 第三回公演「しにものぐるい」上演(RAFT)
2008年10月 母公演「㈱」上演(ブローダーハウス)

更新日 : 2007年01月09日